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【部活動の在り方】知ってた?顧問の手当はなんと時給〇〇円!【地域移行】

タッド先生

中学校へ入学したら、この部活動に入りたいという希望はあるだろうか。

いやむしろ、希望の部活動があったからこそ、その学校を選択したという方もいるだろう。

また、希望の部活動はないが、「絶対、どこかの部活動へ入らなければいけないのか」とお悩みの方もいるのではないか。

教員の働き方改革をめぐり、部活動は避けては通れない問題になっている。

「ブラック部活動」といわれるのは、教員だけでなく、生徒をも苦しめることになるからだ。

もちろん部活動で得られることもたくさんある。

公立中学校で約9年間勤務した私が、部活動の現状と今後の部活動のあり方について考えてみたい

部活動の顧問の現状を知ることで、部活動や顧問の教員に対する考え方が変わるのではないか。

辞めた私がいうのもなんだが、経験者として早く部活動の地域移行を進めて欲しい。

生徒がより専門的な指導を受け、精神的な余裕がない顧問から理不尽な叱責を受けないためにも。

目次

部活動に入ることは強制!?

2022年3月9日、「日本若者協議会」がスポーツ庁に要望書を提出した。

内容は、「生徒を部活動へ強制的に加入させることをやめて」というもの。

2017年度の調査では、全国の公立中学校の約3分の1が強制入部制を採用している。

実際、私が勤務していた地方自治体でも、途中から強制入部が解除された。

野球部ではなく、地域で野球をやっている生徒も強制入部しないといけない。

幽霊部員として茶道部に籍を置き、なぜか坊主頭が卒業アルバムの茶道部に交じっているという光景も見られた。

生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、スポーツや文化及び科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に質するものであり、学校教育の一環として教育課程との関連が図られるように留意すること。

学習指導要領では、部活動の目的を上記のように定めている。

「自主的、自発的な参加」である。

だから、そもそも強制することがおかしいのだ。

タッド先生

しかし、教員側は全員顧問制が通常なのだ。

法律にはっきりと明記されず、部活動があいまいな立場にあるのだ。

さらに日本特有の「これまでそうやってきた」という慣習にずるずると流されてきた。

部活動のあり方の歴史

1970年代から学校の荒れがひどくなった。

やんちゃな生徒の余ったエネルギーの発散という名目で、部活動に生徒を取り込んだのが強制入部の名目だったと推測する。

授業だけでなく、運動で体力を消耗させ、余暇をコントロールし、荒れを抑えようとした。

だから部活動での体罰や暴言は、ある意味当然のことだと思える。

時代は1984年、「落ちこぼれ軍団の奇跡」として弱小チームが全国大会で優勝するというテレビドラマ『スクール☆ウォーズ』が放送された。

主人公のモデルになった山口良春氏は、やんちゃな生徒をラグビーで更生させ、まったく無名だった伏見工業高校を全国優勝まで導いた。

部活動は大切という背景には、このような神話があった。

学校の荒れもずいぶんと収まりをみせ、すべてを部活動や学校で面倒をみる時代ではなくなった。

しかし、現在でもやんちゃな生徒を部活動で抱え込むという考えを持った教員は少なからずいる。

部活動の顧問はどのようにして決まるの?

生活指導部の部活動担当の教員が、全教員に希望の部活動のアンケートを取る。

必ず希望が通る訳もなく、専門外の部活動を持つこともある。

1つの部活動に複数顧問がいるが、正確には主顧問と副顧問に分かれている。

主顧問は経験者であったり、未経験でも指導経験が長い者が担当する。

副顧問は年配や女性教員が担当することが多い。

例外もあり、指導経験が浅く未経験の部活動の主顧問を担当することがある。

逆に同一部活動に全国レベルの経験者の顧問が2人いることもある。

ところが、互いに指導方法が異なり、協力せずにどちらか片方が一手に引き受ける事例もあった。

陸上部の顧問を例にすると、まったくの未経験の顧問がいる一方で、箱根駅伝へ出場経験の顧問もいる。

どちらの教員の負担が大きく、生徒もどちらの顧問に教えてもらいたいかは言わなくてもわかる。

それでも、本を買って勉強し、練習会に参加して、涙ぐましい努力をされていた教員もたくさんいた。

部活動手当は時給〇〇円

ブラック部活動たるゆえんは、教員の仕事は部活動だけではないからだ。

学級経営や教科指導の教材つくり、テストの作成から採点、会議や雑務がある。

家庭があれば、帰宅すると子どもが待っている。

土日祝日(以下、休日)に部活動があると、家族と過ごす時間どころか、自らの体を休める時間もない。

では教員が部活動をしてもらえる対価はどのくらいだと思われるだろうか。

平日は0円

休日は、4時間以上2700円、6時間以上3600円だ。

以前はコンピュータによる打刻のシステムがなかったので、多少の融通がきいた。

しかし、打刻システムが導入された現在では、正確な時間以上に学校にいないといけない。

休日は部活動のためだけに出勤するので、通勤時間を合わせると半日は平気で消える。

それに休日の午前中から部活動をすると、昼飯を食べると何をする気力も起きない。

時刻表が休日なので、普段の出勤より早い始発で行くことも多々あった。

ある3連休の顧問の働き方

この金額は交通費や食費などを含んでいる。

練習試合や遠征に行く場合は大変だ。

例えば7時に学校の最寄り駅に生徒を集合させて、定期券を使って迎えに行く。

試合の朝は早い。

点呼を取り、予定していた電車を使って試合会場の学校まで行く。

他府県で行われることも多くある。

試合中は顧問が監督を務めるが、試合がない間は他校の審判をする。

生徒は練習したり、休んでいるが顧問は忙しい。

副顧問を連れて行って、審判をしてもらったりすれば理想だが、現実は違う。

副顧問とは名ばかりで、試合どころか普段の練習にも来ないことがある。

卒業アルバムの部活動写真を撮影する時に、「あー、この先生も顧問やったんや」と気づく。

結局はすべて一人でこなす。

監督、審判、練習メニュー、怪我の対応を含めた生徒間のトラブルも。

昼食は試合会場で出前を取ってくれるが、もちろん実費だ。

午後の試合になると、もうへろへろだ。

平日の仕事の疲労が溜まっている。

土曜は試合前の練習をした。

3連休で月曜は休みだが、今日の試合に勝ち進めば、月曜も試合である。

「負けろ…」

生徒には悪いが、心の声が言っている。

負けそうになるが、逆転する。

嬉しいような悲しいような不思議な気持ちになる。

なんとか試合の日程を終了し、勝敗と得失点差を計算すると、明日の試合に進めるらしい。

明日はまた違う会場の学校で試合がある。

最後の力をふり絞って生徒にミーティングをする。

そして最寄りの駅まで生徒を送り届けるのだ。

帰宅すると19時だった。

12時間を超えても、「6時間以上」の扱いで3600円支給される。

電車賃900円、昼食代700円、飲み物代300円を引くと、1700円。

仮に12時間として計算すると、時給は140円強になる。

最悪マイナスになることもあった。

私はお金はいらないから休みが欲しかった。

3連休が明けた火曜からは、また授業と部活動が始まるのだ。

地域移行への試み

文科省は教員の働き方改革として、部活動の地域移行を段階的に進めている。

別に教員免許を持った教員が部活動を担当しなくてもいいのではないか。

ちなみに私が所持しているのは「社会科」の免許であり、「陸上競技」の専門資格はない。

海外では、部活動は教員ではなく地域が主体となって生徒を育ている。

地域には特定のスポーツを専門的にやってこられた方が意外といる。

未経験や指導経験の浅い教員より、専門的な指導を受けられた方が生徒も嬉しいはずだ。

現在、外部指導員として週に数回、部活動を指導に来るシステムが導入されている。

しかし、引率やケガの対応などは、まだまだ顧問である教員がしなければいけない。

まとめ

タッド先生

文科省のホームページを見ていて、いつも理想論ばかりだと感じる。

それは現実的に現場で実現されないからだ。

時間がかかるのは当然だが、部活動の地域移行に反対する教員が多くいるという事実がある。

授業ではなく、部活動をしたいから教員になった方も少なからずいる。

学校の荒れの部分でも書いたが、やんちゃな生徒を放課後、休日を通して抱え込むと考える教員もまだまだいる。

予算を超えた分は実費で道具を買い与えたり、私と違ってプライベートな時間まで生徒のために使う教員もいる。

別に部活動が好きな教員は、どんどん部活動をしてくれてかまわないが、したくない教員まで巻き込まないで欲しい

したくないといえば語弊があるが、未経験だったり、家庭を持つ者とそうでない者は違う。

何かを犠牲にしなければできないこともあるが、中学校の教員は「教科」で採用されている。

少なくとも優先順位は、「教科>部活動」

一部の地域で、部活動の地域移行が実験的に開始されているという。

部活動以外でも、教材つくりやコピーなどの雑務を専門とする人材を学校現場に配置する予定だという。

雑務の話は、当時の校長から4~5年前に聞いた話である。

私が勤務していた地方自治体では、部活動の地域移行は一部実験が始まり、雑務の補助は聞いたことがないのが現状である。

「もうすぐ楽になる」と鼻先にニンジンをぶらさげられた状態が、現場ではいつまで続くのだろう。

心配ママ

以前の顧問は、もっと練習時間を取ってくれました

不安ママ

休日にオフが多くなりましたね

実際に保護者から直接言われたセリフである。

私は休日に教材つくり、テスト作成をして、さらに部活動で生徒をみる。

では私の子どもは、誰が責任を持ってみるのだろう。

少なくても部活動の顧問ではなく、子育てには自らの手をかけたいと思う。

なぜなら我が子であり、幼少期に親として接する時間は有限なのだから。

もちろんトラブルがあっても、責任は顧問ではなく、親自身の私がとる覚悟だ。

辞めたからできることだが、部活動の現状はまだまだ大変だ。

だからこそ、一刻も早い部活動の地域移行の実現を願うばかりだ。

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この記事を書いた人

名前:タッド先生

関西在住のアラフォー男。

同志社大学卒業。

元公立中学校教師。

既婚、1児の父。

うつ病で退職を余儀なくされ、より良い生き方を模索しています。

約9年間の公立中学校勤務の経験から、子育ての悩み、成績の上げ方の工夫など教育全般について発信しています。

ご意見やご要望などあれば、コメントかメールでお気軽にお知らせください。

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