「元教員が過去問解いてみた」シリーズ第3弾!
東京都立高校の過去問を解いてみました。
2問の記述問題には、採点のポイントまで載っていてわかりやすかったです。
では、元社会科教員がどのように考えて解いているのかを言葉にしてみました。
出題傾向も分析してみましたので、どうぞ!
都立高校の無料入試過去問
令和4年度の5教科の過去問が無料で掲載されています。
模範解答や記述問題の採点ポイントまで、丁寧に記載されています。
都立高校の社会科の過去問の特徴
初めて都立高校の過去問を解いてみました。
慣れた大阪の過去問と形式が異なり、正直戸惑いました。
大問1~3が地理、4が歴史、5・6が公民、7が混合問題でした。
大問1~4のなかにも公民が混ざり、全体的に地理のウエイトが大きい印象を受けました。
地理では、入試で頻出の地形図が出題されていました。
さらに上宮高校や関西大倉高校の過去問解説でも言いましたが、世界遺産が出題されていました。
地形図では、地図記号や縮尺がよく問われるので、もう一度確認しておいてくださいね。
語句記述はなく、資料から読み取れるものを記述する問題が2問出題されていました。
配点は5点と大きかったので、「何が」問われているのかという問題の本質をつかむ必要があります。
では、それも含めて解説します!
解説
大問1 地理
問1
「方位」が示されていない地形図は、基本的に上が北です。
この問題では、A点からC点に向けて、8方位がわかれば解答できます。
問2
出ました世界遺産!
Ⅱの文から、奈良にある唐招提寺を地図上で解答できれば大丈夫。
地理の教科書の最初か最後にある「世界遺産一覧」を再度確認しておいてください。
大問2 地理
問1
インド西部の雨温図を選んでください。
エの気温を表す折れ線グラフがV字なのは南半球の地域。
アとウは降水量が少ないですね。
気温が低いアがB、ウがAでしょう。
Ⅰの文にあるように夏には南西から吹く風によって、たくさんの雨が降ります。
だから海に面する地域では米が栽培できるのです。
インドのカレーはナンのイメージがありますが、雨が少ない小麦が栽培される地域ではナン、米が栽培される地域では米のカレーです。
問2
まず石油という単語が出てくるイがRのドバイ。
複数の国を流れる河川(国際河川)であるライン川の河口にあるウは、オランダのロッテルダム。
エの人口密度8000人/㎢が引っかかりますよね。
中国は人口は多いですが、人口密度は高くありません。
実はマレーシアのことなんです。
シンガポールは、世界各国へ旅行する時に中継地点としてりようされるハブ空港で有名です。
イとウが確実にわかれば、あとは正解率50%なので十分です。
問3
Ⅲの文にいくつかヒントが隠されています。
アジア太平洋経済協力会議(APEC)ということから、アジアのYかZになります。
バナナの栽培と公用語が英語ということで、Yのフィリピンです。
フィリピンでは、液化天然ガスやコーヒーはあまりとれません。
Ⅲの文にあるバナナや、1999年と比較して2019年では、日本の輸入額が2倍ということからエが確定。
大問3 地理
問1
さまざまな要素を考えて都道府県を見つけていきましょう。
A:北海道 B:兵庫県 C:福岡県 D:長崎県
まず海岸線に注目しましょう。
海岸線が長ければ長いほど、たくさん海に面しているということです。
一番海岸線が長いウが北海道のA。
次に注目したのが、ア。
「国内炭と中国産の鉄鉱石を原料に鉄鋼を生産していた製鉄所」は八幡製鉄所です。
アがCの福岡県。
エ、離島が多いことと造船所から、Dの長崎県。
イ、南部に製鉄所や国際貿易港で、Bの兵庫県。
問3
またまた地形図です。
今回は縮尺の問題は出ていませんが、等高線の間隔から2万500分の1か5万分の1かの縮尺を考え、実際の長さを計算できるようにしておいてください。
問題が掲載されているページに、「採点のポイント」も掲載されていました。
(変化)「工場」があった土地に「商業施設」が建てられたことについて書かれている。
(要因)「多くの人が集まる駅であること」について書かれている。
つまり、たくさんの人が乗り降りする主要駅であり、行き帰りに商業施設で買い物をしてくれればという考えが背景にあります。
大問4 歴史
問1
詳しい年号は必要ありません。
ア:墾田永年私財法 → 奈良時代
イ:摂関政治 → 平安時代
ウ:元号を建武 → 南北朝時代
エ:元の襲来 → 鎌倉時代
問3
全然わからん。
大丈夫、落ち着いて考えましょう。
まず、イに寛政の改革があるので江戸時代。
ウに「黒船来航に備えて」とあるので、江戸時代(後期)
エに日英同盟とあるので、1902年。
1902年(遠くをにらんで日英同盟)、遠くとはロシアが南下してくることですね。
明治時代です。
アの地下鉄は比較的新しそうです。昭和時代でした。
問4
一見難しそうですが、要所を見つければ一発です!
Ⅱの文に、「東西ドイツが統一されるなど」とあります。
冷戦が終わり、ベルリンの壁が壊されたのは、1989年です。
大問5 公民
問1
ア:身体の自由
イ:思想良心の自由
ウ:職業選択の自由
問2
Ⅱの文に、「中東で起きた戦争の影響を受けた石油危機から3年後」とあります。
石油がたくさん採れるアラブ諸国とイスラエルが争った中東戦争が何度も起きていました。
1973年に起きた第4次中東戦争をきっかけに石油価格が上昇したのが石油危機(オイルショック)です。
問3
問題文の下から2行目に注目してください。
「~比較して、情報通信技術を提供する業種と利用する業種の構成比の違いに着目し、~」
シャーペンでいいので線を引きましょう。
解答する前に、この問題では「何が」問われているかをはっきりさせることが大切です!
これも採点ポイントが掲載されていました。
- 情報通信技術を提供する業種と利用する業種の構成比の違いに着目していること。
- アメリカ合衆国と比較していること。
つまり、問題で「何が」問われているか、本質を見抜けばあとは簡単です。
誤字がある1点減点、~が書かれている3点(2点)と部分点もあるので、空白は避けたいです。
大問6 混合問題
問2
捨て問にしてかまいません。
問3
Ⅱの文に、「オランダから独立」「イスラム教徒が8割」などからインドネシアです。
まとめ
今回も元社会科教員の私が、どのように考え解答しているのかを言葉にしてみました。
初めての都立高校の問題は、少し癖を感じましたが、3年間の知識を活用すれば十分に解ける問題です。
問題文中からキーワードを拾い、それを確実に生かすことです。
そのためには最低限の知識が必要になります。
地理のウエイトが重いと感じたので、特に地形図。
地図記号や縮尺を再確認しておいて欲しいです。
そして私学の上宮高校と関西大倉高校にも出題されていた世界遺産。
暗記ではなく、世界遺産一覧を見ておくだけでかまいません。
満点は必要ないので、取れる問題を確実に点数に結び付けたいですね。
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