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【元教員が暴露】残業代4→10%でも志望者が増えない本当の理由

文科省には「足し算」ではなく、「引き算」で考えて欲しい!

こんにちは、元公立中学校教員のタッドです。

私も過労から休職した一人として、教師の働き方改革に一言もの申したい。

残業代アップは足し算で、業務内容を減らすのが引き算

現場を経験した立場から教師の残業とは具体的にどんなものなのか。

またなぜこれほど休職する教師が増えたのか。

具体的なデータを元に、どのようにすれば教師の志望者が増えるのかを考えてみたい。

目次

教員の残業代がおかしい

教師の残業の定義

まず教師の残業の定義だけど、勤務時間は8時30分から17時まで、昼に45分の休憩あり。

定時を過ぎただけでなく、朝練などを含めた時間外労働が教師の残業となる。

休日出勤となる部活動や自宅での教材研究も残業になる。

教師の残業時間の実態

文科省が2022年8月と同10~11月、全国の公立小中学校約1200校でフルタイムで働く教員を対象に行い、約3万5000人が回答した教員勤務実態調査によると、週50時間以上働いた教員は中学校で77・1%、小学校は64・5%となった。

「月45時間」の残業は、文科省が教員の働き方改革のために2019年に出した「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」だ。

法律が定める公立教員の正規の勤務時間は週38時間45分であるため、週50時間以上働くと、残業が週11時間15分以上となる。

この働き方が1カ月続いた場合、残業時間は「月45時間」に達する。

勤務時間が週60時間以上で、月当たりの残業が厚労省の定める「過労死ライン」(月80時間残業)に到達する教員は、前回調査(2016年)では中学校で57・7%、小学校で33・4%に及んでいたところ、中学校で36・6%、小学校で14・2%となった。

毎年、管理職から「36協定」の書類が回り、署名するのだが有名無実化している。

週50時間、80時間を週5日で考えると、1日10時間、16時間となる。

週5ではなく週7日で考えて欲しい。

週7日であれば、1日7時間強、11時間強になる。

私自身、3連休にすべて部活動が入り、初日は練習、2日目は練習試合、3日目は大会という形で休みがなかった。

部活動が終わって、ようやく教材研究やテスト作りができたのだ。

教師の残業代

教師の残業代は「教職調整額」として一律に基本給の4%が支払われる。

いわゆるこれが教師の残業代になる。

一律なので、17時ぴったりに帰るなど残業をしない教師も受け取ることができるのだ。

不安ママ

えっ、しなくてももらえるの!?

基本給が30万とすると、4%で1万2千円。

心配ママ

たったの1万2千円

10%になったとしても3万円。

月に80時間残業しても、0時間でも一律に3万円。

これが「定額働かせ放題」といわれるゆえんだ。

部活動の手当は、休日しか支給されない。

つまり、平日、17時を過ぎて何時まで部活動をしようが「教職調整額」の範囲になる。

休日の部活動の手当は、4時間以上で2700円、6時間以上で3600円だった。

交通費、食費込みなので、学校でする場合はいいが、練習試合や大会となると長くて12時間くらいは拘束される。

他県へ遠征して交通費と昼食代を引けば、手元に残るのは1000円ほど。

10時間拘束されたとすると、時給は100円になる。

また月6日あるすべての土日を部活動で6時間以上しても、21600円。

教職調整額12000円+21600円=33600円となる。

月50時間残業したとして、時給換算すれば時給672円になる。

私は手当というかお金ではなく、とにかく自分の時間、休みが欲しかった。

増え続ける教員の休職

文部科学省の「令和3年度公立学校教職員の人事行政状況調査」によれば、精神疾患を理由に病気休職した公立の小中高校、特別支援学校などの教職員数は、過去最多の5897人(全体の0.64%)を記録した。

増え続ける休職者を減らすために文科省はどうすればよいのだろう。

教職調整額として給与を増やせば休職者は減るのだろうか、また志望者は増えるのだろうか。

施策を間違えると問題は解決しないどころか悪化する一方だ。

教師が少なくなり、教育の質が低下すると困るのは子どもたちなのだ。

文部科学省から出された提言

教師の人出不足解消に、自民党の萩生田政務調査会長がトップを務める特命委員会がまとめた提言案が出された。

抜本的な環境の改善が必要だという。

中身は大きく4つ。

  • 残業代である教職調整額を4%から10%へ2.5倍以上に引き上げる。
  • 校長や副校長など管理職を確保するための管理職手当の改善や、学級担任の重要性を踏まえ「学級担任手当」の創設。
  • すべての教員の時間外の在校時間を、国が残業時間の上限としている月45時間以内にすることを目標にしたうえで、将来的には月20時間程度に減らす。
  • 中学校での35人学級の実現。

教職調整額の引き上げ

これは一番簡単な方法だろう。

しかし、現場の教師が望んでいるのは給与の増加より、休みである。

私自身も目先の部活動手当より休みが欲しかった。

毎月、部活動別の学校のグランドや体育館の割り当てが発表される。

例えば、陸上部は土曜の午前(前半)はグランド半面、日曜の午後(後半)はグランド全面など。

それをベースに顧問同士が前半後半を交換するなど交渉が行われる。

使わないとなると、翌月からは減らされる可能性があり、部員のためにもオフは多く取れないのだ

また保護者も土日祝と安価で子どもを責任もって預かってくれるという甘えがオフを多く取れない一因にもなる。

コンビニへ買い物へ行くと、担当する部活動の生徒の保護者がレジをしていた。

顧問が先生になってからオフが増えたね」と嫌みのように言われたことがある。

特にチームでプレーする競技は個人が休むとポジションが空くので部員も休みにくい雰囲気がある。

タッド先生

だから私が悪者になってオフを増やした。

生徒も喜んでくれたが、嬉しく思わない保護者もいることは事実なのだ。

安価で責任を持って土日も預かってもらえるという一部の保護者の甘えが部活動が保育園化させているのが現状である。

私自身も子どもや家族がいるのに、土日に時給100円ほどで仕事をしているという事実を知って欲しい。

それが教師の仕事だと言われてしまうとそれまでだが、このままでは休職者の数は増える一方だ。

大会への遠征も可能な部活動指導員を導入中としているが、まだまだ現場の需要に応えられていないのが現状だ。

学級担任手当の創設

昔は特別支援担任(旧養護学級担当教諭)は基本給の10%の手当が付いた。

特別支援学校教諭免許がなくても可能で、年配の体育上がりの教師が支援学級を担当していた。

また月5000円程度の学年主任手当もあった。

これもお金の問題なので解決は可能だが、担任と副担任の仕事量を考えると月5000円だとしても副担任の方がマシと考える現場の教師は多いだろう。

教科指導、部活動指導のうえに担任業務があるからだ。

文科省にはとにかくお金ではなく、業務量を減らす方向で考えて欲しい。

残業を月20時間程度にする

微々たる教職調整手当しか出ないにもかかわらず、なぜ月50~80時間も残業する教師がいるのかを真剣に吟味して欲しい。

教科指導、部活動指導、生徒指導、教材研究、テスト作り、採点、成績などをしていると自然と残業時間が増えていく。

一体、誰が代わりにやってくれるのだろうか。

部活動指導員、印刷などの業務を行う人材、テストの外部委託など具体的にいつどれだけの人員が学校に配置されるかも未定である。

私が現役時代には部活動指導員にお世話になった。

当時の部活動指導員は顧問なしでの活動はできず、指導員単独での大会遠征ができなかった

大事な大会には頼み込んで一緒に来てもらったので、部活動指導員の交通費や昼食代は私が出した。

ただでさえ少ない部活動手当からの支出なので、部活動自体はほぼボランティアだ。

テストの印刷や教材つくりの支援員の話も校長からは聞いていたが、配置された例は聞いた試しがない。

残業時間を減らすためには自民党がいう抜本的な改革が必要なのだが、教員生活9年間のなかで抜本的な改革が行われたことはなかった。

35人学級の実現

35人学級の実現は望ましい。

だが単純にクラス数が増えるので、担任をはじめ人手が必要となる。

ただでさえ教員不足のなかで、どのように人材を確保するのだろうか。

まとめ

文科省や自民党の提案は足し算で、現場が求めているのは引き算なのだ。

教職調整額など給与の引き上げではなく、むしろ現状の業務量をいかに少なくしてくれるかである

まずは部活動だろう。

地域に移行するなり、顧問が学校や大会に行かなくても代わりに指導できる権限を持った部活動指導員を増やす。

次に学校内の授業以外の仕事をできる限り減らして最適化して欲しい。

定期テストを外部委託したり、出欠も携帯端末のアプリで処理したりと可能な限り業務量を減らす。

コロナウイルスの感染拡大によって入学式や体育大会が簡素化した。

来賓は来ない、校長の挨拶も短くなった。

体育大会も午前中で終わる。

やればできるじゃないか!

簡素化したことでクレームがくるどころか教職員や保護者の負担も減った。

足し算ではなく引き算なのだ。

これが文科省や自民党に分かって欲しい一番のポイント!

精神疾患による休職者が増え続ける職場を誰が好き好んで来るものか。

ネット上でも「お金じゃない」という声がたくさん散見される。

にも関わらず、出される提言がまったく的を得ていない。

こうなれば教育は落ちるとこまで落ちた方がいいのかなとも思う。

本当ににっちもさっちも行かなくなって、やっと本当の問題が見えてくるのかもしれない。

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この記事を書いた人

名前:タッド先生

関西在住のアラフォー男。

同志社大学卒業。

元公立中学校教師。

既婚、1児の父。

うつ病で退職を余儀なくされ、より良い生き方を模索しています。

約9年間の公立中学校勤務の経験から、子育ての悩み、成績の上げ方の工夫など教育全般について発信しています。

ご意見やご要望などあれば、コメントかメールでお気軽にお知らせください。

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