「発達障害」という言葉が、ネットや書籍にはんらんしています。
チェック表を見て、私は、いや子どもが複数に当てはまる。
チェックに複数当てはまれば発達障害なのでしょうか。
また発達障害とは診断されなくても、どこか生きづらいと感じている方は少なからずいます。
そこで最近、発達障害の検査を受けた私が、発達障害と「障害の重複」、どのように考えればいいのかを解説します。
今回、参考にした書籍は、『発達障害~生きづらさを抱える少数派の「種族」たち~』本田秀夫です。
ちなみに私の検査結果は発達障害ではありませんでしたが、凸凹があり、発達に特性があるというものでした。
筆者である本田氏は、「やりたいこと」を優先しろと結論づけています。
発達の特性を最大限に生かせということです。
障害が重複するの!?
発達障害とオタクの違いは?
では要約がてらに解説していきます。
「自閉スペクトラム+注意欠如・多動症」な人たち
発達障害には、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)の3つがあります。
どれか一つに当てはまるのではなく、複数の障害や特性を重複することがあります。
「1+1=2」にならないことも
それぞれの障害のアルファベットの最後に「D」がついています。
Disorder=障害です。
発達障害の診断では、こだわりの強さはあるものの、生活への支障がなければ発達障害とは診断されません。
例えば研究職などの専門職で、対人関係にあまり影響が少なく、強すぎるこだわりが仕事に生きることがあります。
ところが結婚して家庭を持つと、いろいろとトラブルが出てくることも。
AS(自閉スペクトラム)やADH(注意欠如・多動)は、発達障害と診断されないものの、発達に特性があるというものです。
ASD → AS、ADHD → ADHのように「D(Disorder)障害」が消えています。
一つの障害や特性から生じる困難を「1」とした場合、ASDとADHDから生じる困難は、1+1=2という単純な場合だけではないのです。
重複によって、1+1=1だったり、ASやADHのような特性から生じる困難が「0.5」だったとしても、重複によって0.5+0.5=2以上になる場合もあるのです。
重複によって「こだわり」が弱く出る場合、強く出る場合
ASとADHの重複の場合。
「こだわり」と「不注意」のせめぎ合いで、結果として「こだわり」が弱く見えてしまう場合があります。
例)0.5+0.5=0.5になる場合。
本当に好きなゲームをしている時には、気が散らない。
ゲームにどんなに集中していても、あらかじめ決めていた約束の時間になると活動を切り替えられる。
逆に困難の度合いがそれぞれ「0.5」であっても、特性の重複が悪い方向へ出てしまい、一生懸命やっているにも関わらず、周囲の理解が得られないということもあるのです。
発達障害と「ふつう」はどう違うのか?
発達障害「1」とふつう「0」があるのではなく、スペクトラム(連続体)なのです。
白か黒ではなく、白からだんだん濃くなって黒になるイメージです。
「0.3」や「0.8」があり、グレーゾーンや特性などと呼んだりします。
では以下の場合は、どのように考えればいいのでしょうか。
- いわゆる「オタク」とASはどう違うのか。
- うっかり屋とADHは違うのか。
- LDは、勉強が嫌いなだけではないのか。
いわゆる「オタク」とASはどう違うのか
ASの特性に「対人関係」と「こだわり」があります。
両者のバランスのとり方でASと「オタク」と違いをみることができます。
ASの特性がある人は、こだわりと対人関係を天秤にかけて、こだわりを優先します。
こだわりを優先することで対人関係に困難を感じます。
例えば、ゴルフが好きな場合、ゴルフを通じた「対人関係」の広がりや充実も大切で、ゴルフは目的の一つです。
ところがASの場合、アニメそのものを見ることや語ることが主要な目的になり、対人関係が目的になっていないことがあります。
ASの人たちが集まった場合、対人関係ではなく、好きなことをただ話しているだけで互いが満足しているからです。
どちらが良い悪いではなく、それぞれにスタイルがあるのです。
発達障害の人が「本当の自分」を知る方法
発達の特性の「重複」と「強弱」を考える
まず以下のリストで特性をチェックしてみてください。
- 臨機応変な対人関係が苦手
- こだわりが強い、感覚過敏
- 不注意
- 多動性・衝動性
- 読むのが苦手
- 書くのが苦手
- 計算が苦手
- 運動が苦手
- 手作業が苦手
- チック
- 知的な発達が遅い
複数当てはまったからといって発達障害という訳ではありません。
発達障害でなくても、人はさまざまな特性を持っています。
その特性の重複や強弱を下の写真を見て、自分の位置を見つけてみてください。
筆者はASが「4」ADHが「3」としています。
私自身も考えてみると、ASが「4」ADHが「3」で筆者と同じでした。
うつや不安は特性ではなく、二次障害
うつ病がなかなか寛解しない、不安が強すぎる場合、それは二次障害で、上記に挙げた特性があるからかもしれません。
特性がうまく生かされていれば問題はありませんが、生活に支障が出ている場合、考えないといけません。
まずは自分にはどんな特性があるのかを知ることが大切です。
「やりたいこと」を優先する!
では発達障害やグレーゾーンだった場合、どうすればいいのでしょうか。
「やりたいこと」を優先すると筆者は結論づけています。
でもなかなかやりたいことってできないですよね。
環境調整をしてみよう!
苦手を克服しよう。
もうがんばらなくてもいい。
仕事が「やりたいこと」でない場合、「休みの日はどうか?」と生活全般で考えてみましょう。
仕事がやりたいことと合致していればいいですが、なかなか機会には恵まれません。
そんな場合、仕事はやりたくないことだが、休日に好きな趣味を楽しめているのであれば、トータルでみればいいでしょう。
趣味がない場合、少しずつでいいので自分が楽しめるものを探すことから始めてみましょう。
また特性を放置するのではなく、生活に支障が出ているのであれば、「療育」や「福祉サービス」などの「専門的な対応・支援」、「医学的な治療」にかかることをおすすめします。
自分が「発達障害かもしれない」と思ったら
発達の特性を、対人関係の選好性として考えましょう。
「~が苦手」という機能の欠損ではなく、「~よりも~を優先する」という選好性としてとらえます。
例えば、ADHの人はじっとしていることが苦手だが、思い立ったらすぐに行動に移せるという具合に。
まとめ
「もし子どもが発達障害だったら」とご心配されている親御さんも少なからずいます。
昨今、「発達障害」と名の付く書籍が多く出回り、ネットでもチェック表まで出ています。
まず発達障害か、そうでないかの白黒思考をやめましょう。
発達障害に近いグレーゾーンもあれば、定型発達に近いが発達の特性がある人もいます。
実は私自身も最近、発達障害の検査を受けました。
発達障害ではなかったものの、凸凹があり、発達に特性があります。
だからこそ「やりたいこと」を優先することが大切なのです。
プロ野球選手には、さほど学力は要求されません。
こだわりが強い方がいいですし、多少多動気味でも気になりません。
ただ野球に関する知識や相手投手の癖を見抜く術、バットをコントロールする技は求められます。
でも野球が好きな人がすべてプロ野球選手になれないのも事実です。
そのような場合は、野球が仕事でないけれど、趣味で草野球をしているという風にトータルで楽しめればいいのです。
だから子育てにおいて、「この子はこうだ」と限定せず、子どもの興味関心を優先し、親はサポートに回りたいですね。
発達障害は、狭く限られた世界のなかでうまくできないので、生活に支障が出るものだと私は考えます。
仕事で組織に属さないフリーランスが増えてきています。
学校も同様で、改めて登校してみんな一緒に授業を受ける時代は終わったのではないでしょうか。
インターネットが、さらに自由な生き方を可能なものにしています。
最後に筆者が「選好性」という言葉を使ったように、無理やり苦手なことを押し通すのではなく、より得意なことを磨いていく世の中が主流になるでしょう。
自分が持つ特性を最大限に発揮できれば、発達障害という生活への支障は最小限になると私は考えます。
まずは自分が発達障害か否かではなく、自分が持つ特性を知ることが大切ですよ。
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